Orca を使ってみた
📌 先に3行でまとめ
- 🐋 Orca(=AI のコーディング担当を何本も並べて動かすための無料アプリ)を入れて、1日使ってみました。結論から言うと、結構いいです
- 🗂️ 効いたのは2つ。ターミナルだけでは見えなかったフォルダの中身が横に見えることと、同じリポでフロントとバックを並べても衝突しないこと
- ⚠️ ただし初日に、いくつか引っかかりました。作業場の置き場所、「このフォルダを信頼する?」、jj のリポの扱いです
🐋 Orca って何?
公式サイトの説明は「The agent development environment」です。コードを書くための IDE(=統合開発環境)に対して、AI エージェント(=自分で考えて作業する AI)のための開発環境、という意味で ADE と呼んでいます。
- 🌳 worktree(=同じリポを、別のフォルダにもう1つ広げる Git の機能)・ターミナル・ブラウザ・CLI が1つのアプリに入っています
- 🤖 Claude Code・Codex・Gemini・Cursor など、公式サイトによると27種類以上のエージェントに対応。手持ちのサブスクでそのまま動きます
- 🆓 無料・オープンソース(MIT ライセンス)。作っているのは Stably AI というサンフランシスコの会社です
- 💻 Mac・Windows・Linux に加えて、iOS と Android のアプリもあります
- ⭐ GitHub での公開は2026年3月。半年でスターが8万を超えました(2026-09-29 時点)
ひとことで言うと、「タスク1つ = 作業場1つ = AI 1本」を並べて見張るためのアプリです。
🧑💻 それまでの私の環境
普段は Ghostty(=Mac のターミナルアプリ)が本拠地で、タブ1枚 = Claude Code 1本で仕事をしています。VS Code のタブに Claude を並べる使い方も試していました。
困っていたのはこのあたりです。
- 🗂️ Ghostty だと、ディレクトリの構成が見えない
- 🐛 VS Code は思ったよりバグが多かった。 日本語入力の関係かもしれません
- 💥 同じリポで2本走らせると、同じファイルを触ってぶつかる
✅ 使ってみてよかったこと
🗂️ フォルダの中身が見える
何より良かったのはこれでした。Ghostty ではディレクトリの構成が見えなかったのが、Orca では AI が作業している横にファイルの並びが出ています。
🌳 同じリポでフロントとバックを並べられる
Orca はタスクごとに worktree を分けます。作業場ごとにフォルダが別なので、同じリポで並べても衝突しません。
一人で開発していても、「同じリポでフロントエンドとバックエンドを両方進めたい」という場面は結構あります。その時にコンフリクト(=同じ箇所を別々に書き換えて、どちらを残すか決めないといけない状態)を気にしなくていいのは、すごくいいです。
🎫 GitHub の Issue がそのまま使える
私はもともと、進めることを全部 GitHub の Issue(=課題を1件ずつ書いておく場所)で管理しています。Orca は Issue から作業場を作れるので、今のやり方がそのまま乗りました。
さらに、Issue 番号を渡すと作業場を立てて Claude に任せる小さなスクリプトも書きました。
- 📋 Issue ごとに作業場を作り、その Issue を Claude に渡す
- 🛑 エージェントには push・PR・デプロイ・外への送信をさせない
- 👀 取り込むかどうかは、Orca で差分を見てから私が決める
- 🔢 一度に立てるのは3本まで(並べすぎると使用量が一気に減るので)
🤔 一人なのにブランチを分けるのは大げさ?
最初はそう思いました。一人でやっているのに、タスクごとにブランチ(=作業の枝分かれ)を切るのは過剰な気がします。
でも考えてみると、ブランチを分けて管理しているのは私ではなく AI です。私は差分を見て、取り込むかどうかを決めるだけ。それなら分かれていてもいいのかな、というのが今の感覚です。
⚠️ 初日に引っかかったこと
💾 作業場は外付け SSD に置いた
worktree は、リポをもう1つ丸ごと広げます。並べる本数だけディスクを使います。
私の Mac は本体の空きが100GBほどしかないので、設定の「Workspace Directory」を外付け SSD にしました。YouTube で見たヘビーユーザーの方は、1TB でも足りず、週1で作業場を掃除していると話していました。私はまだ使い切っていないので、ここは様子見です。
🍺 Homebrew の `orca` は別のアプリ
brew install --cask orca で入るのは、同じ名前の別アプリ(グラフを画像にするツール)です。公式サイトからダウンロードするか、Homebrew なら brew install --cask stablyai/orca/orca と指定します。
🔐 「このフォルダを信頼する?」で止まる
Claude Code は、初めて開くフォルダで「このフォルダを信頼しますか?」と聞いてきます。初期値は No です。
作業場は普段のフォルダの外(私の場合は外付け SSD)に作られるので、普段の「信頼済み」が効きません。放っておくと、Claude が起動しないまま待っています。
ただ、一度 Yes を選ぶと元のリポが信頼済みとして記録され、2本目からは聞かれませんでした(実際に2本立てて確かめました)。リポごとに最初の1回だけ、Orca の画面で Yes を押せば大丈夫です。
🔑 git に入れていないファイルは、作業場に来ない
鍵ファイルや .env(=パスワードなどを書いておく設定ファイル)のように、git に入れていないファイルは、新しい作業場にはありません。鍵が要る作業は、そのままだと作業場の中では動きません。
Orca には、リポの直下に .worktreeinclude というファイルを置くと、そこに書いたファイルを作業場へコピーしてくれる仕組みがあります。コピーしたくない鍵は、元のフォルダで作業するのが安全です。
🦀 jj のリポでは、作業場の中は git だけ
私はいくつかのリポで jj(=Git と一緒に使える、新しいバージョン管理ツール)を使っています。jj のリポも Orca に追加はできましたが、作業場の中では jj は使わず git で進め、取り込みは PR(=「この変更を入れてください」という申請)にしています。
✅ 確認なしで動くのが標準
Orca は Claude Code を、操作のたびの確認を飛ばすモードで起動するのが標準になっています(Orca のソースコードで確認しました)。並べたエージェントが承認待ちで止まらないようにするためです。
私はこのまま使っていますが、そのぶん上に書いた「push・デプロイ・外への送信はさせない」をエージェントへの指示に必ず入れています。
⌨️ キーボードで作業場を行き来する
Orca では、ターミナルのタブ1枚にあたるのが作業場1つです。そこで、Ghostty のタブ移動と同じキー(Option + F / J)で作業場を前後できるようにしました。
Orca 自身の「前の作業場 / 次の作業場」は、編集画面などにカーソルがあると効かない作りでした。Karabiner(=Mac のキー割り当てを変えるツール)と Orca の CLI を組み合わせて、どこにいても効くようにしています。
🎥 YouTube の評判(8本見ました)
記事を書く前に、Orca を紹介している動画を日本語5本・英語3本見ました。
多くの動画が共通して言っていること 👍
- 🌳 タスクごとに worktree を分けるので、同じリポで並べても衝突しない
- 🆓 本体は無料で、エージェントは手持ちのサブスクで動く
- 🖱️ 画面の部品をクリックして、そのまま AI に渡せる(デザインモード)
- 📱 スマホから様子を見たり指示したりできる
弱点として挙がっていたこと ⚠️
- 💾 ディスクを食う(上に書いた通り)
- 🔄 更新が速い。 9月は3週間で15回、ほぼ毎日新しい版が出ています。GitHub の未処理の Issue と PR は、合わせて7,000件を超えています(2026-09-29 時点)。動画の解説もすぐ古くなります
- ✏️ エディタは最低限。 Christian Lempa さんのレビューでは、拡張機能が入れられず VS Code や Zed には及ばない、ただ Orca はそもそも IDE を目指していない、と話していました。私は AI に書かせて差分を見るのが中心なので、どこで困るのかはまだ分かっていません
- 🙅 TECH WORLD の対談に出ていたヘビーユーザーの方は、1つのことを突き詰めたい人や、自分のコードを全部把握したい人には向かないと話していました
🙋 これがあなたに何の関係があるのか
- 👩💻 Claude Code や Codex を毎日使っていて、同じリポで2本以上動かしたい人 — 試す価値があります。無料なので、まず1つのリポで並べてみるのがおすすめです
- 🧑💻 1本ずつで足りている人 — 急がなくて大丈夫です。並べないなら、今のターミナルやエディタで十分です
- 🏢 AI に仕事を任せることを考えている会社の人 — 「作業を分けて管理するのは AI、人は差分を見て入れるかどうかを決める」という役割分担は、コードに限らず参考になると思います
🧭 まとめ
1日使ってみて、結構いいというのが正直な感想です。
今は、本拠地は Ghostty のまま、同じリポで並べたい時と、Issue をまとめて片付けたい時に Orca を開くという使い分けに落ち着いています。ディスクと、エディタとしての物足りなさは、しばらく使ってから追記します 🐋